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医療ガス設備のトレンドをお届け!笑気の使用は減っている?
笑う気体と書いて「笑気」。正式名称は亜酸化窒素です。
諸説あるようですが、笑気麻酔によって緩んだ患者さんの表情が笑っているように見えたかことから「Laughing gas」と言われるようになったという説が有名です。
麻酔技術の進歩により病院設備として設置することが減ってきました。そんな笑気の用途、使用量減少の背景についてご紹介いたします。
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医療ガスにおける笑気の用途
麻酔の導入
笑気は医療現場で使用されている麻酔ガスの一つです。揮発性麻酔薬と併用することで、麻酔の導入を迅速に行うことができます。これにより、麻酔薬の使用量を減らし、副作用を軽減することが可能です。例えば、手術前に患者さんがリラックスしやすくなるため麻酔の導入がスムーズに進みます。鎮痛効果
笑気は強力な鎮痛効果を持ち、歯科治療や局所麻酔と併用されることが多いです。歯科治療では患者さんの不安を和らげ痛みを軽減するために使用されます。覚醒効果
血液への吸収が速く、麻酔からの覚醒が早いという利点があります。
病院内での供給方法は2パターン
病院の規模や運用方法によって採用される供給方式は異なります。
患者さんごとにボンベで供給
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小規模な病院で採用されることが多い供給方法です。移動が可能なため必要な時に必要な場所で使用することができます。
使用中に残量が無くなるリスクがあるのでボンベごとに残量を確認するなど日常の管理が重要です。
中央配管方式により院内に供給
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大規模な病院で採用される供給方法です。機械室に供給装置を設置し配管を通して各エリアのアウトレットから使用することができます。
供給元で一元管理されているためガスの使用時に残量を気にする必要がありません。壁面やシーリングサプライユニットから接続し使用するためアウトレットの設置場所によってはホースの取り回しに注意が必要です。
笑気の需要は減少傾向
笑気の使用量は減少傾向にあります。その背景にはいくつかの理由があります。
供給設備の出荷減少
医療施設が笑気供給装置を購入するきっかけは建て替えによる新築や増築の場合が多いのですが、「地域医療構想」が進むなかで医療提供体制が整理され、病院そのものが減っており、笑気の供給装置を設置する新築病院自体が減少傾向にあります。代替麻酔薬の普及
静脈内に麻酔薬を投与する全静脈麻酔法など代替麻酔法が普及し、笑気の使用が減少しています。環境への配慮
笑気は温室効果ガスの一種であり、環境への影響を考慮して使用を控える動きが広がっています。温室効果ガスとして有名な※二酸化炭素(91.3%)と比べ※笑気(1.5%)と少ないですが医療機関では、環境負荷を減らすために使用を抑える努力がなされています。
長年当たり前に使用されてきたものでも技術の進歩によってさらにいいものが出てくる。プラスチックストローが環境配慮のため紙ストローに変わったように、便利でも実は良くない要因があることに気が付くことで代替品に置き換えるということはよくあります。
技術の進歩により代替麻酔薬が普及し、環境を配慮し使用を控える。これらの要因が重なり、中央配管方式の設置が減少していると考えられます。
設置が減少しているとはいえ医療ガス供給装置は病院設備として重要な役割を担っています。安心安全にご使用いただけるようモノづくりを継続しつつ時代に合わせ柔軟な対応をしてまいります。