手術を快適に? 患者もスタッフも守る手術室
医療ドラマでよくある、外科医が汗をかきながら暑そうに手術をしているシーン。
皆さまも容易に思い浮かぶのではないでしょうか。
実際の手術室でも、医療機器や照明の影響を受けやすい執刀医は暑くなりやすく、室温を下げることが多いようです。
一方、執刀医以外のスタッフは冷えた部屋では寒く感じ、手術を受けている患者さんにも大きな影響があります。
手術室での空調の役割
温度・湿度の調整も大事ですが、手術室空調の最も重要な役割は、清潔な空気を送り込んで手術室を清潔に保つことです。
通常の手術室ではこの二つの役割を同時に行っています。
つまり、常に送っている清潔な空気を冷たくすることで、部屋の温度を下げているという訳です。
新しい空気は一番清潔にしたい術野周辺に送り込むため、患者さんの真上から吹き降ろすようになっています。
その結果、最も冷たい空気が患者さんに当たることになってしまうのです。
患者にもスタッフにもやさしい手術室空調
そこでセントラルユニが考えたのが、この役割を分割させる方法です。
天井から吹き降ろす清潔な空気を冷たくする代わりに、手術室の壁面を冷やすことで部屋の温度を調節します。
これは『輻射』という熱の伝わり方で、床暖房によって部屋全体がじんわり暖まるのと同じ原理です。
このアイデアの下、温度分布が均一になるよう検証を重ね、病院に協力いただきながら開発を進めました。
そうして生まれた輻射式空調システムが、『コンフォート・コンダクター』です。
その名の通り、執刀医、スタッフ、患者、すべての快適性をつかさどる指揮者のような存在です。
コンフォート・コンダクターを導入した病院で計測を行ったところ、患者さんの体温低下を防ぐ効果は狙い通り確認され、スタッフの不快感も軽減されました。
コンフォート・コンダクターの意外な効果
その後、コンフォート・コンダクターがもたらす影響についてデータを取り続ける中で、他の効果も確認されました。
手術中には電気メスなどの使用により、『サージカルスモーク』と呼ばれる微小な粒子が発生します。
このサージカルスモークは、手術を受ける患者のみならず、手術をしている医療スタッフにも健康被害を及ぼすといわれています。
空気の温度差が生じにくいコンフォート・コンダクターでは、空気の淀みが起きにくく、従来の手術室空調と比べてサージカルスモークの滞留が少ないことが分かりました。
そのため、術野を清潔な状態に保つことができていたのです。
さらに、医療機器にも良い影響が現れました。
内視鏡カメラを使う手術では、冷たい空気にさらされたカメラが利用時に曇ってしまうことがあり、それを防ぐためにお湯につけておくこともあるそうです。
コンフォート・コンダクターを利用した病院で、この結露が減ったという声をいただきました。
コンフォート・コンダクターに関する研究は現在も続き、さらなる改良を続けています。
これからも手術環境のさまざまな研究を重ねて、セントラルユニの提案する手術室はますます進化してまいります!
おわりに
今回はなかなかマニアックな話でしたね。
空調ひとつとっても「よりよい病院」のためにできることはたくさんあるということが伝わったのではないでしょうか。
セントラルユニはこれからも、独自の着眼点でよりよい病院づくりに貢献していきます。