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メーカーだからこそ、こだわりたい。「設計ポリシー」策定の裏側とは?

CI(コーポレートアイデンティティ)の実現を目指し、社内の有志で活動するCI委員会。活動開始後、VI(ビジュアルアイデンティティ)統一のため、ロゴマーク改定に着手した彼らが次に取り組んだのは、「設計ポリシー」の策定でした。
本記事では、メーカーならではの製品設計にまつわるCI委員会の取り組みについて、当時の中心メンバーである村田さん、石黒さんと一緒にプロジェクトを振り返ります。

▼ VI統一を目指し、ロゴマークを改定したお話はこちら ▼


左:村田さん   右:石黒さん

【プロフィール】村田 和之(むらた かずゆき)
2015年入社、事業開発部 係長。照明士の資格をもち、前職ではプロダクトデザインを手掛ける。現在は主に新サービスの開発に従事。CI委員会ではプロジェクトリーダーを務める。

【プロフィール】石黒 惠子(いしぐろ けいこ)
2016年入社、現在はコーポレートブランディング室に所属。社内外に向けたブランディング業務に従事し、製品リーフレットなどのデザインを手掛ける。CI委員会では、アイデア出しやミーティング時の進行役として活躍。


ロゴマーク改定後は、行動指針策定と設計ポリシー策定の2軸で活動

―ロゴマーク改定後の活動を教えてください。

ー村田:主に2軸で動いていました。ひとつは、BI(ビヘイビアーアイデンティティ)統一に向けた取り組みです。もうひとつは、製品設計におけるVI(ヴィジュアルアイデンティティ)統一です。

―まずはBI統一の取り組みについて教えてください。

―村田:CIの実現に向けて、“社員の行動が会社のイメージをつくる”と考え、行動指針の内容を見直すことからはじめました。当時、評価システムや社内環境を見直すプロジェクトが別で動いていたので、そのプロジェクトメンバーと共同でミーティングを行いましたね。

―石黒:当社の理念「人間尊重・価値創造型企業」をつかった「人間尊重プロジェクト」という印象的なプロジェクト名でしたよね。

―村田:行動指針については、社内的にこうと決まったものが無い状態でした。社歴の長い社員に昔の行動指針を聞いたりしつつ、時代に即した内容に変更できないかを検討しましたね。

昔の経営指針(行動指針)

―石黒:昔の行動指針にあった「利益へのモーレツな意識」という言葉は、かなり印象に残っていますね。当時のプロジェクトメンバーの一人が気に入って、紙で貼りだしていた記憶があります。笑

―村田:ただ、行動指針見直しにあたっては評価システムと組みあわせることの難しさと相まって、なかなか前に進めづらい状況を感じていました。
ちょうどその辺りで組織変更により人間尊重プロジェクトが解体したこともあり、行動指針の見直しはいったんストップしてしまいました。
いまは、2021年に新設したコーポレートブランディング室が受け皿となってくれていますね。

「製品のデザインを見直したい」という社員の相談から、設計ポリシーの策定がスタート


―なるほど。それでは、製品設計におけるVI統一についてお聞かせください。

―村田:ロゴマーク改定など一連のCI委員会の活動を経て、ものづくりを行う工場の社員から「ある製品の金型が古くなっており、デザインを見直したい」と相談を受けたのがはじまりでした。
ものづくりに関わっていくと、やはり製品設計の面でもいろいろと整理した方がいいことが見えてきて、設計ポリシーの策定が走り出しました。

策定した設計ポリシー

―設計ポリシーを決めていくうえで気を付けた点はありますか?

―村田:扱う製品が患者さんの命に直結するものであることから、信頼性や誠実性を重視しました。そして、安全に確実につかってもらえるよう、使いやすさや清潔感、視認性の高さを意識しました。

―策定していく中で、社員の反応はどうでしたか?

―村田:僕はもともと新製品の開発に関わっていたことがあり、設計ポリシーはそのときにプロダクトの指針としてつくっていたものをベースにしています。会社で扱う製品すべてに通じるよう整理したので、工場長に了承をとるときも「そもそもそうだよね」という反応でしたね。

―石黒:村田さんが考えてくださった初期案の完成度が高く、微修正くらいしかなかった気がしますね。

製品に使用する色も統一へ

―CIガイドラインには「製品に使用する色」として塗装色や印刷色の指定がありますね。これも設計ポリシーの考えをベースに決めていったのでしょうか?

―村田:そうですね。金型が古くなっていると相談を受けた製品が医療ガスアウトレットだったこともあり、医療ガスに関連するものを中心に、製品に使用する色を整理していきました。

―石黒: 当社が扱う医療ガスアウトレットは現在3種類ありますが、製品ごとに塗装色が混在している状況でした。そこも統一を図っていく方向で整理しましたね。

整理した塗装色

―村田:2019年頃には製品につかう色を策定していたのですが、つい最近、印刷色のDIC指定(*)があった方が良いのではという話になりました。
まさにこの後、石黒さんとDICの近似色を選定する作業をします。

*DICとは、DIC株式会社が製造している特色インキのことです。希望の印刷色を伝えるために、DICカラーガイドという色見本帳をつかって「DIC○○番」という番号を指定します。

製品塗装色とDIC近似色の選定作業をされるお二人
自然光に近い窓際で色を見比べ
DICのカラーチップを載せて検討中。
非常に集中力のいる作業でした…!

「自社として誇れるものを提供したい」と、手術室の推奨配色パターンを用意

―「色」の観点でいくと、CIガイドラインには「手術室の推奨配色パターン」がありますね。これはどのような経緯で決めていったのでしょうか?

―村田:当社では、手術室の色を決める際にカラーチップの色見本を見ていただくほか、3Dシミュレーションで部屋全体の色味を検討いただいています。

お客様本位で選んでいただくことを売りにしていたのですが、あるときお客様から「セントラルユニでつくる手術室の色はどれがいいんですか?推奨はありますか?」と言われたんです。

そのときに会社として提示できるものが用意できていなかったので、つくろうという運びになりました。

―石黒:たしか、社員がお客様の要望通りに色味を選んだ結果、かっこいいと言えないカラーリングになってしまったというエピソードもきっかけのひとつにあった気がします。
工場長から「会社として自分たちが誇れないものをお客様に提供していいのか?」という投げかけもあり、推奨配色パターンを整理していきました。

―村田:照明の反射率や色のもつ心理的効果を考慮し、主に「寒色系」「暖色系」「中性色」に分けて手術室の壁面や床に使用する配色パターンを決めていきました。壁面は照明の反射が明るくなるよう白に統一し、清潔野といわれるエリアが一目で分かるよう、床面に必ず色をいれるようにしました。

―石黒:「寒色系」「暖色系」「中性色」の配色に濃淡をつけて、6種の組み合わせを推奨配色パターンとしましたね。

当社推奨の手術室配色パターン

今後も設計を中心に関わりを続けたい

―設計ポリシーをはじめ、製品設計に関わるところで大きく貢献いただいているのが分かりました。それでは最後に、今後の展望について教えてください。

―村田:直近はやはり、設計ポリシーですかね。今ちょうどDICの近似色選定をしていますし、医療ガスアウトレットのアップデートも、個人的に一番いい形で落ち着いたのではないかと思っています。

―石黒:いい形というのは?

―村田:今回アップデートの対象となった医療ガスアウトレットは、40年近く同じデザインを採用しています。
今の医療ガスアウトレットを見て「医療ガス=これだ」と認識してくれる人がいるのに、それを大幅に変えてしまうのは今までの財産を捨ててしまう気がしてもったいないと感じていました。

でも、時代に合わせてリファインしていく必要はあります。デザインの印象は大きく変わらないけど、実はよくなっているという着地点に落ち着けたのがよかったと思っています。

そういう意味では、またそういう製品アップデートがあったら関わりたいとは思いますね。逆に設計ポリシー以上のことは、コーポレートブランディング室がうまくやってくれているのであまり展望はありません。笑

―村田さん、石黒さん、貴重なお話をありがとうございました!


最後までお読みくださりありがとうございました。
今後も、社員や社内プロジェクトの様子をお届けしていきますので、お楽しみに!


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