病院の建て替えやリフォームはどう進む?【フェーズ1基本構想・計画】で決めること
こちらの記事で病院建築は大きく5つのフェーズに分かれて進んでいくことをご紹介しました。
今回は、1つ目のフェーズ「基本構想・計画」について深掘りしていきます。
※本記事はヴェクソン医療看護出版の書籍「スタッフを支えるICUの環境とデザイン」に寄稿した内容を一部改変して執筆しております。
病院建築計画の大きな枠組みを決める
これから病院が目指していく「なりたい姿」を考え、病院建築計画の大きな枠組みを決めることが基本構想・計画です。
病院の理念や方針、地域医療構想などに基づき、病床数や手術室数、外来患者見込みなどの病院規模や機能をはじめ、コンセプト、建築スケジュールなど、計画の大きな枠組みを決めていきます。
病院の経営層が主体となって取りまとめ
病院建築計画の大きな枠組みを決めるにあたり、病院コンセプト設計を行います。病院コンセプト設計では主に下記の項目を整理していきます。
実現したい姿の言語化
病院機能と規模の設定
部門配置の見当
建物総コストの算出
建築スケジュールの検討
病院の経営層が主体となって整理した内容をもとにラフスケッチで検討を進めていきます。
臨床現場で働くみなさまが準備できること
基本構想・計画の多くは病院の経営層によって選択されていくことがほとんどですが、臨床現場で働くみなさまが準備できることがあります。
「現運用の課題整理」と「設計の与条件」の検討です。
・現運用の課題整理
普段働いている環境の中で、不便に感じていること、改善したい環境、運用など、日常的に感じていることを吐き出し、言語化していきます。
要望をあげるタイミングにさしかかった際に、速やかに検討できるようあらかじめ整理しておくことが重要です。
・設計の与条件
設計に反映してほしい条件のことです。
例えば、1床あたりの最低面積(横幅〇m╳縦幅〇m)や自部門に必要な諸室(現病院で足りない諸室)など、設計に反映してほしいことをまとめていきます。
与条件を提示するには、より具体的な理由を挙げておくことが望ましいです。部門別にみると、以下のような理由が挙げられます。
ICU部門の場合
手術部門の場合
ただ単に条件だけを伝えてしまうと、思っていた要望とは違う捉え方で解釈されてしまう可能性があるため、なぜそのような条件が必要なのか、必ず整理しておきましょう。
理想や不満を言語化しておこう
基本構想・計画が終わると次は基本設計です。
基本設計に進むと建物の骨格が決まり、柱やエレベーター、階段の位置などが変更できなくなっていきます。
病院が完成した後の「こんなはずじゃなかった!」を無くすため基本構想・計画の段階で「ここが困っている」「こういう動線の方が看護しやすい」といった現状の不満や思い描いている理想を可能な限り言語化しておくことをお勧めいたします。
セントラルユニができる支援
セントラルユニでは、病院が完成した後の「こんなはずじゃなかった!」を無くすための取り組みをしています。
部門内での課題や要望整理のお手伝いをはじめ、病院建築計画におけるさまざまな支援を行っています。「どこに相談していいか分からない」という場合は、ぜひお気軽にセントラルユニまでご相談ください。
次回は基本設計のフェーズで医療従事者の皆さんに気にしてほしいポイントについて詳細にお伝えしていきます。
次回もご覧いただけると嬉しいです!
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