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理想の多目的ホールを思い描く。空間コンセプトを共創した話

病院という施設は、家や会社とは異なり非常に様々な人が利用する場所です。それゆえに、どんな空間が喜ばれるのか、どうしたら選ばれるのかを考えるのは難しいかもしれません。
山口県にある脳神経筋センターよしみず病院(旧 昭和病院)では、移転新築に合わせてつくる多目的ホールをどのようにデザインすればよいか悩んでいました。


理想はあるけど、どうやって形にすればいい?

多目的ホールは、病院で働くスタッフの休憩などのほか、地域の人々にも開かれたイベントスペースにするなど、病院内外で利用することを想定していました。基本的な方針は決まっていて、いろいろな意見や要望も上がっていました。しかし、具体的にはどのような空間にしていけば良いのかが不明瞭だったのです。
 
今回セントラルユニは、「要望をヒアリングして空間の意匠を提案する」といったお手伝いをしたわけではありません。
私たちはブランドコンセプトとして「つかう人を、つくる人に」と掲げていますが、これは単に「どうやったら使いやすくなるのか、利用する人に聞いてみよう」とか、「より多くのスタッフの意見を反映させよう」というだけの意味ではないのです。
 
それでは一体、セントラルユニは何をしたのでしょうか。
セントラルユニの掲げる「つかう人を、つくる人に」とは何を目指したものなのでしょうか。

「つかう人を、つくる人に」する進め方

多目的ホールづくりのプロジェクトメンバーは病院で働くさまざまな職種の方で結成されました。
そこをつかう人が設計段階から関わってつくりあげていく、というのはまさにセントラルユニの「つかう人を、つくる人に」という考え方に合うものです。
 
しかし、このまま意見をとりまとめて進めてしまっても良いのでしょうか。
多くの人が利用する空間づくりでは、いろいろな意見が出てきます。反映できる要望もあれば、限りあるリソースでは実現できないアイデアもあります。そんな中で、参加した人が「いい空間になったな」と言えるには納得感が必要です。
そのためには、意見をどれだけ取り入れてもらったかというよりも、その場所に対する共通認識があるということが大切だと考えました。

コンセプトをつくる意義

セントラルユニの提案は「まずコンセプトをつくりましょう」というものでした。つまり同じ方向性で空間をつくっていくために、その方向性をみんなで決めましょうという提案です。
コンセプトを明確にしておくことで、プロジェクトメンバーの意識統一や目的の共有ができ、迷った時の判断基準になります。

また、多目的ホールはいろいろな用途で使われます。プロジェクトメンバー以外のスタッフも多目的ホールでの企画を催しますし、病院のライフサイクルの中ではスタッフの入れ替わりも起きます。
だからこそ、空間という器だけを用意するのではなく、「ここで生まれる活動はこのようなものであってほしい」という思いを集約し、言葉としてコンセプトに残すという提案をしたのです。

共通認識を得るのは簡単なことではありません。同じ言葉を使っていても別のものを思い浮かべてしまったり、当たり前だと思ってる前提が他の人にとっては思いもよらないことだったりします。
同じイメージを持つには、言葉を重ねて理解しあうための時間をかけることになります。
 
コンセプトというもの自体、医療従事者の方にとっては普段の業務とかけ離れていて、もしかしたら馴染みのないものだったかもしれません。
「忙しい中時間をつくって参加しているのに、出した意見について言わなくても分かるだろうということまでやけに細かくきかれたり、他の人の生活背景まで聞かされたりする……。」もしかしたらそんなことを思われるのではないかという不安もありました。
しかし、この手順を抜きにしては本当に「自分たちでつくった」と納得できる空間にはならないと考えたのです。
 
実際にはプロジェクトメンバーの皆さまには、長期間にわたり多くの時間を割いていただいたにも関わらず、真剣に、積極的に参加していただきました。お付き合いいただき、本当にありがとうございました。

ヒアリングの記録
ワーキングで出てきたキーワードのマッピング

セントラルユニのコトづくり

よしみず病院様では最終的に、空間コンセプトと施設名称、施設ロゴを一緒につくらせていただきました。
セントラルユニとしても挑戦的な仕事でしたが、「そこで働く人々の環境をデザインする」という一貫した取り組みのうちの一つに違いありません。
単なるモノ=医療ガス設備や手術室設備を提供するだけではない、セントラルユニのコトづくりに今後もご期待ください。

お客様の声

私達病院側の人間ならばきっと気づきもしないし考えもしないような事柄について、セントラルユニさんがワーキングを通して、いちいち問いかけてくださいました。メンバーの理想の多目的スペースのイメージが実は似ていたり、似ているようでべつの機能を想定していたり、実際は全然ちがう使い方を混在させていたり、問いかけによってあぶりだされた概念地図によって、私達は多目的スペースの具体像にだんだん近づいていくことになりました。
 
セントラルユニさんはよい意味でおせっかいな会社だと思います。そのマインドに私達も影響されました。それは担当してくれた方々に思いやりのある想像力があったからだと思います。私達が置かれている状況や空回りしかねない熱意に対して、適格な判断をもってひそかにレールを敷いてくれるやさしさと確かな企画力があったからだと思います。本当にありがとうございました。
 
脳神経筋センター よしみず病院 経理課 西川泰功様 インタビューより(一部抜粋)。

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