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手術部門の計画を紐解くと、さまざまな”流派”があった!

スポーツや芸術の世界をはじめとして人の営みにはさまざまな「流派」があり、それによって同じ分野においても考え方、技法、スタイルが異なります。実は、手術部門を設計する際の平面計画にもその「流派」と類似した平面型というものがあります。手術部門をつくる際に重要な「平面型」についてお伝えします。

手術部門の平面計画ってなに?

平面計画とは、建物全体や各部屋の配置などを平面図上で計画することです。家の間取り図を思い浮かべてもらうと、イメージがつきやすいかもしれません。
病院を建て替える、もしくは増築する・改築する際には、平面計画を用いて各部門の詳細を決めていきます。手術部門は、関わる人や機器の数が多く、入念に動線を検討する必要があるのです。

平面型とは

手術部門には、主役の手術室をはじめとして、さまざまな諸室があります。それぞれ役割があり、その空間の配置の仕方を「平面型」といいます。手術部門は施設毎に特長があり、各施設の方針や専門性により千差万別ですが、平面型は主に4種類に分類されます。

代表的な手術部門の平面型

中央ホール型

中央ホール型は現在多くの施設で採用されています。手術室の有効面積を確保しやすいため、手術室へのアクセスが容易になり、効率的な運営が可能です。また、大型医療機器の設置スペースも確保しやすく、将来的な拡張や改修がしやすいという特長があります。

中央ホール型のイメージと特長

全ての動線が交差するため、中央ホール型は運用計画が非常に重要です。例えば、感染管理上、清潔器械と使用済器械(廃棄物含む)の運用は分けなければいけません。また、手術以外の業務(配盤・使用済器械の密閉)を手術室で行うため、手術以外の手術室占有時間を最適化する運用などを詳細に決めておく必要があります。

配盤作業とは
手術に必要な器材や材料を準備し、手術室で使用するためにセットアップする一連のプロセスです。

清潔ホール型

清潔ホール型は感染防止と効率性を重視した設計です。清潔と不潔の動線が明確に分離され、交差を避けることができます。感染リスクを低減し、手術器材の清潔性を保つことを重視しています。また、配盤を供給ホールで行うため、手術以外の手術室占有時間が短くなります。手術室に面した供給ホールに物品保管が可能なため、術中の追加物品供給等の動線も短くなり、効率性が高まります。

清潔ホール型のイメージと特長

留意点は患者と使用済物品・廃棄物の動線が交差することです。感染防止対策として使用済物品・廃棄物の搬送時密閉化を厳守する必要があります。

回収廊下型

不潔と清潔を明確に分離した感染防止と、術後の回収時間の効率を上げることを重視した設計です。回収エリアのスペースを必要とするため、手術室の数や広さに制約があります。

回収廊下型のイメージと特長

運用における留意点としては、外周廊下スタッフ・中材スタッフの感染防止対策です。使用済物品・廃棄物の搬送時密閉化を厳守する必要があります。

供給廊下型

清潔と不潔を明確に分離し、感染防止と術前・術中の供給時間の効率を上げることを重視した設計です。供給エリアのスペースを必要とするため、手術室の数や広さに制約があります。

供給廊下型のイメージと特長

留意点は患者と使用済物品・廃棄物の動線が交差することです。感染防止対策として使用済物品・廃棄物の搬送時密閉化を厳守する必要があります。

貴方の施設の平面型を紐解くと…

手術室を10室以上有する施設では、4つに分類された「平面型」に当てはめることが、図のように単純ではなく、ひょっとしたら難しいかもしれません。ですが、医療従事者のみなさんにはぜひ、ご自身の施設がどの「平面型」に当てはまるか確認してみていただきたいです。

というのも、手術部門は「清潔性」「安全性」「機能性」「拡張性」といった観点で計画しています。平面計画を紐解くことで何を重視しているか、手術部門の「流派」ともいえるポリシーが見えてきます。その大事にしているポリシーと、進化していく医療技術をふまえた医療環境を考えることが、それぞれの施設にとって最適な環境づくりの第一歩になると考えています。


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