創業72年の医療設備メーカーの企業理念は、空気のようなものだった?
2023年9月26日、当社は創業72周年を迎えました。
日頃よりご愛顧いただいているお客様をはじめ、取引先の皆様に感謝申し上げます。
当社は経営理念に「人間尊重・価値創造型企業」を掲げています。
特に「人間尊重」については、人と接する上で社内で重要視されている言葉です。
この冒頭の文章を書いたところで、ふと疑問がよぎりました。
「人間尊重」のルーツは、どこにあるのだろう…?と。
「人間尊重」は社内で大事な言葉として認識されているものの、「人間尊重はこうである!」と明確に定義があるわけではありません。むしろ、解釈については社員ひとりひとりに委ねられている一面すらあります。
そこで、周年というタイミングに合わせて「人間尊重」の起源はどこなのかを調べてみることにしました。
長いですが、最後までお付き合いください!
1971年から続く社内報にヒントがあった
「人間尊重」というキーワードは「創業から変わらない経営理念だ」と社内では伝え聞くものの、明確に「こうだ」と示された書類が残っているわけではありません。
そこで真っ先に確認したのが、1971年から続く社内報「亀峰」です。
歴史が長い当社にとって、まさに会社の財産ともいえる、会社の歴史を知るのにもってこいのツールです。
創刊号で、人間尊重が基本理念であることを確認
まずは創刊号(1971年5月発行)を確認。
表紙を開くと、当時の荒井副社長の言葉が載っていました。
仕事に対する姿勢とともに人間尊重について言及されていますが、人間尊重そのものの意味までは書かれていません。
「人間尊重」とは、空気のようなもの?
続いて、現在の「セントラルユニ」に社名変更をしたタイミングの1976年3月号を見てみました。
当時、社名変更を記念し「明日へ生きるごろんぼたち」という企業映画が製作されました。
その監督のインタビューに、こんな言葉がありました。
続くインタビューでは、監督の「人間尊重とは何か?」という質問に対する社長の回答が、こう記されていました。
さらに監督は、インタビューの中で熱心に働く社員の姿勢や礼儀作法、人柄に言及しており、一人一人が親切で、他人への心くばりがいき届いている様子を“人間尊重の空気が感じられる”とも語っていました。
社内報を読み解くことで、少しずつ、“人間尊重”の形がみえてきました。
ここでさらに深堀りすべく、創業時より長く当社の経営に携わっていた歴代社長のひとり、荒井範推さんについて調べてみることにしました。
人間尊重の根幹をなすのは、歴代社長のひとり、荒井氏の言葉だった
当社にはこんな書籍が残されています。
“荒井範推 五十三歳いま青春”
この書籍は、荒井さんの勤続30年を記念して当時の社員一同からお祝いとして贈られたものです。荒井さんの生い立ちからはじまり、ご両親やご友人からのメッセージや社内に掲示された公示録にいたるまで、30年を振り返る内容が記録されています。
目を付けたのは、公示録。
当社では創業間もない頃からある一定の期間まで、社員の言動・挨拶・服装をはじめ、ものの考え方にいたるまで、徹底的な躾・教育の一環として公示の掲示が行われたようです。それを「公示録」として巻末に記録してあるものを参照し、人間尊重に関するところをピックアップしてみました。
→人を思いやる気持ちや、率先して行動できることを評価している。
→自分を律して行動できる人を望んでいる。
→けじめをもった姿勢や規律ある態度を大切にするような基本姿勢が示されている。
公示録には、「人を思って行動すること」「規律など守るべきものを順守したうえで自分なりの工夫を加えて自発的に動くこと」「思いやりとは、やさしさだけではなく厳しさをもって接すること」…など、荒井さんが大切にしている「人としての姿勢」が詰まっていました。
社員からみた「人間尊重」も、「人を思いやる」こと
社内報や荒井さんの本を通して見えてきたのは、“人を思いやる”ことに対するさまざまな姿勢や価値観を一言で表しているのが「人間尊重」という言葉ではないか、ということ。
しかし、ここまでは経営者目線での言葉。
社員の感触としてはどうだったのかを確認してみました。参照したのは、2014年に制作したOBが出演するドキュメンタリーフィルム「道標」です。
かつて当社に務めたOB5名の方にインタビューを行い、後世に残したい「セントラルユニの魅力」を記録に残したムービーです。
その中で、OBの方が思う「人間尊重」は以下のように表現されていました。
これらは、現在の社員同士でセントラルユニの強みや人間尊重についてどう思う?という話をするときにも、よくでてくる表現です。
社員にとって「人を大切にする」という文化はOBの方たちから受け継がれ、企業に根付いているのですね。
結論:人間尊重とは、「人を大切にする」「人を思いやる」姿勢が根付いた、いわば企業文化のようなもの
調べてみてわかったのは、「人間尊重」とは一言で簡単に説明できるものではなく、姿勢や価値観など、さまざまな要素が組み合わさっているものである、ということです。
「人を思いやる」ことを前提に、セントラルユニに関わる人たちが“人”として成長できるよう、優しさだけではなくときには厳しさをもって接することを総称して「人間尊重」としているのではないでしょうか。
いわば、理念でありながらも、脈々と受け継がれている企業文化のような形のないものなのかもしれない、と結論づけることにしました。
そして、創業以来ずっと「人を大切にする」姿勢を貫いてきたからこそ、72年も企業として存続することができたのではないでしょうか。
当社はこれからも、「人」を大事に、医療を通じて社会に貢献していきます。73年目のセントラルユニも、どうぞよろしくお願いいたします。