病院の建て替えやリフォームはどう進む?【フェーズ2 基本設計】で決めること
病院づくりの流れと、各フェーズで医療従事者の皆さんに気にしてほしいポイントをお伝えする本連載。前回は、フェーズ1基本構想・設計についてお届けしました。今回はフェーズ2 基本設計 について深堀りしていきます。
※本記事はヴェクソン医療看護出版の書籍「スタッフを支えるICUの環境とデザイン」に寄稿した内容を一部改変して執筆しております。
建物の構成や病院全体を具体的に描くフェーズ
基本設計では、基本構想・計画の内容をもとに建物の構成を具体的に描いていきます。
建物全体の骨格となる柱や階層、面積、階段やエレベーターの位置など、建物の構造にかかわる内容の図面化を行います。さらに、病院内の各部門配置と大枠の面積を検討し、病院全体を図面化していきます。
基本設計は病院建築の中で重要なタイミング
実は病院建築計画の中で、基本設計は部門の位置関係や広さなどの大枠が決まる、最も重要なタイミングになります。なぜなら、ここで検討する内容は、フェーズが完了すると変更が難しくなるからです。病院ができてから「こんなはずじゃなかった」と後悔しないためにも、このフェーズで納得できる図面になるまで議論しておく必要があります。
臨床現場で働く皆さまに確認・検討いただきたいこと
医療関係者の皆さまが納得のいく図面にするために大事なポイントは3つです。
確認ポイント:設計の与条件が反映されているか
検討ポイント1:図面の立体的なイメージを把握する
検討ポイント2:他施設の事例を参考にする
確認ポイント:設計の与条件がしっかり反映されているか
基本設計に入ったら、設計の与条件がしっかりと反映されているかを確認しましょう。運用に沿った配置になっているか、希望したスペースに適正な広さが確保されているかなど、基本構想・計画フェーズで挙げた与条件に合致した図面になっているかを確認してください。
しかし、残念ながら建物の構造上の理由など、すべての与条件が図面へ反映されることは難しい場合も多くあります。その場合、設計者に対して、なぜ反映ができなかったのかを確認することが大事です。設計者側の考えも確認しながら、その中でも譲れない条件がある場合、優先順位を整理し、要望を出していきましょう。
検討ポイント1:図面の立体的なイメージを把握する
病院ができあがったあとに「イメージと違った。もっとこうしたらよかった」とならないよう、図面化された段階で、立体的なイメージを把握するようにしましょう。平面図だと空間的イメージがつかみにくいため、簡易的な3Dイメージを活用し、定期的に確認しながら進めていくと失敗が少なくなります。
検討ポイント2:他施設や事例を参考にする
よりよい環境を検討するうえで必要なことは、他施設の環境を知ることです。運用中の病院を見学することは難しいかもしれません。ですが、写真や平面図だけでも施設ごとに大きな特徴があります。他施設の事例も参考にしながら計画に盛り込んでいくと、より納得した環境づくりにつながるでしょう。
セントラルユニができる支援
セントラルユニでは、病院が完成した後の「こんなはずじゃなかった!」を無くすための取り組みをしています。
基本設計フェーズにおいては、図面を3Dイメージで確認するお手伝いをはじめ、他施設の事例をご覧いただけるツールもご用意しています。
病院づくりに関する悩みについて「どこに相談していいか分からない」という場合は、ぜひお気軽にセントラルユニまでご相談ください。
次回は実施設計のフェーズで医療従事者の皆さんに気にしてほしいポイントについて詳細にお伝えしていきます。次回もご覧いただけると嬉しいです!
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