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病院に関わる全ての人をハッピーに!共創が鍵となる『アスクレピオスプロジェクト』

病院で働く人たちも、入院する患者さんも、お見舞いに来るご家族も、 医療に関わるすべての人がハッピーになれる治療環境をつくりたい―。
より良い治療環境について日々考える中で行き着いたこの思いを実現しようと、活動している研究・開発プロジェクトがあります。

プロジェクトのきっかけ

セントラルユニではこれまで、「医療従事者が働く場所」という視点を中心に病院づくりの提案を行ってきました。しかし、私たちの中にいつしか疑問が生まれていました。「患者さんやご家族にとって、最適と言えるだろうか?」
もちろん、医療従事者が働きやすいということは患者さんをケアしやすいということであり、結果的に患者さんにとっても良い環境であるはずです。
ところが、ICUの治療環境について勉強するうちに様々なことが分かってきました。

ICU:Intensive Care Unit(集中治療室)。重篤な患者さんを24時間体制で管理し、治療しています。

ICUにいる患者さんは意識のない方ばかりではありません。近年ではICUで行う早期のリハビリテーションの重要性が示されていますし、家族との面会を行うこともあります。意識のある患者さんにとっては、生活空間でもあるのです。
そうした日常を取り戻すための空間が、はたして治療を行うことに特化した空間で良いものなのか、改めて考え直さずにはいられませんでした。

私たちにできることの限界

手始めに私たちは、患者さんやご家族が快適に過ごせるようになるための設備提案をしました。
しかし、この提案はあくまでセントラルユニが「こっちの方が良いのではないだろうか」と感じたものであり、病院にしてみればそもそも欲しいものではありません。いわば“押し売り”であり、「たしかに良いかもしれないけど予算を割けない」、あるいは「うちには必要ない」と言われてしまいました。
 
提案は受け入れられませんでしたが、だからといって現状のままで良いという訳ではありません。
一方で、「こうしたら良くなる!」という答えを私たちだけで導き出すことに限界を感じました。
 
「もっと病院をこうしてほしい!」と考える医療従事者や患者さん、ご家族がいるのではないだろうか?そうした人たちを巻き込み、意見を出し合い、議論する場をつくりたいと考えました。

未来の治療環境を共創する『アスクレピオスプロジェクト』

そして2019年に生まれたのが、医療従事者、患者さん、ご家族と共につくる共創プロジェクト『アスクレピオスプロジェクト(通称:アスピオ)』です。
アスピオのミッションは現状の治療環境から課題を発見し、医療に関わるすべての人にとって価値のあるサービスやプロダクトを生み出すこと。
セントラルユニだけでは分からないことを、「より良い環境にしたい」という思いを同じくする様々な立場の方と一緒に考え、一緒につくっていくプロジェクトです。

アスクレピオス(Aesculapius)とは、ギリシャ神話に登場する医療の神のことです。名医アスクレピオスの神殿は病院の一種として機能し、病院の起源ともいわれています。

この「思いを同じくする人と一緒に考え、一緒につくる」という考え方はセントラルユニに深く根差し、『つかう人を、つくる人に ーUSER TO BE DESIGNERー』は現在のブランドコンセプトとなっています。

共創のステップと課題

治療空間の中でも、高度な治療設備が必要であり、かつ患者さんの生活と密接に関わる部門がICUです。多角的な視点を要し、プロジェクトが生まれるきっかけともなったICUの調査からアスピオの活動は始まりました。

まずは病院の協力を得てICUを観察させていただくところから始まりました。
学会で得た知識やメーカーとして参加した打合せで知った情報だけでなく、実際に現場で起きていることを肌で感じるためです。

患者さんの様子や医療従事者の動きを、日勤から夜勤まで一日を通して観察し、疑問に感じたことや気になることを発見していきました。
この発見をもとに、医療従事者にヒアリングをして課題を引き出し、解決するためにディスカッションしていく……はずでした。

ヒアリングで発見した課題を投げかけてみると、すでに検討され尽くしたうえで解決できていないというものが多かったのです。
 
たとえば、一日中鳴りやまないアラーム音。
観察した帰りの電車内で幻聴が聴こえるほどに耳に残る音で、ずっと聞いているのはストレスではないだろうか、患者さんやご家族も不安になるのではないかと感じました。
しかし当然のことながら、治療に必要なアラームを安易に消すことはできません。医療従事者は少しでも不安やストレスを和らげようと工夫するものの、根本的な解決はできていないという状況でした。
 
すぐに解決できないこと、解決するための予算が確保できないことなど、リアルを体感したアスピオは現場で起こっている課題の難しさに直面しました。

現在のアスピオ

現在の活動は、観察で得られた気づきからアイデアを出し、病院に持ち込んでご意見を伺うというものです。アイデアの内容は、今はまだ現実的ではない突飛なものから、すでにプロトタイプ作成に進んでいるものまで多岐にわたっています。

感染症の影響もあり、大勢の人が集まって行うディスカッションの機会は遠のいてしまいましたが、アスピオは地道に、そして確実に歩み続けています。

皆さんが感じたことを教えてください

アスピオは「治療環境をもっと良くしたい」と願う人々の共創プロジェクトです。現在も学会等を通じて思いを同じくする仲間を増やしています。
本当にやりたいことは、治療環境に関わる人々と一緒に考え、一緒にいいものをつくること。だれか一方の行動だけでは実現できず、互いに意見を交わしあうことが大切だと考えています。
 
まずは「こうしてほしい!」「こうなったらいいなぁ…」など日頃の思いを吐き出すだけでも構いません。すべての人がハッピーになれる治療環境をつくるため、皆さんのお力をお貸しください。

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