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医療ガスアウトレットの「ピン方式」「シュレーダー方式」って?

現在では当たり前となっている医療ガス供給システム。
ガスの取出し口である医療ガスアウトレットの接続口形状はどの病院に行っても一緒ですが、医療ガス供給システムが普及し始めたころには統一されていませんでした。

今回はその医療ガスアウトレットの歴史についてご紹介いたします。



そもそも医療ガスアウトレットってなに?

医療ガスアウトレットとは、医療ガス供給システムの末端にあたるガスの取出し口のことです。治療に必要な酸素や空気が出るようになっており、手術室や病室などの壁面に設置されています。

医療ガスアウトレットの接続口形状は日本産業規格のJIS T 7101に規定されています。
接続口形状はいくつかありますが、国内で使用される接続方式は主にピン方式とシュレーダー方式の2種類です。


ピン方式とシュレーダー方式って?

【ピン方式】
医療ガスアウトレット側の穴とアダプター側の”ピン”により異なる種類のガスが接続できないようになっています。

ピン方式アウトレット


【シュレーダー方式】
医療ガスアウトレット側の溝とアダプター側の”リング”により異なる種類のガスが接続できないようになっています。

シュレーダー方式アウトレット


ピン方式は日本オリジナル!

なぜピン方式とシュレーダー方式2種類あるのでしょうか?
医療ガス供給システムは1956年にアメリカから配管設備機器を輸入して施工したのが始まりです。当時輸入していた医療ガスアウトレットがシュレーダー方式でした。

医療ガス供給システムの普及とともに製品の国産化が進み、医療ガス設備を手掛けていたメーカーが海外製アウトレットをもとに独自のピン方式を開発。
その後セントラルユニもピン方式を採用しました。


普及したものの…!?

ピン方式の普及が進みましたが、当時は今のJIS規格のような明確な決まりがありませんでした。
そのため笑気と吸引においては医療ガスアウトレット側のピン穴の角度は同じであっても反時計回りに穴の位置が反転しているメーカーがありました。

使用においては延長ホースを接続することが多いので、誤接続防止のガス別特定ピン穴位置が反転していても大きな問題はありませんでした。しかし、メーカーごとにピン穴の位置が違うのは医療安全を確保しづらいという考えから、ピン穴の位置を統一していく動きになりました。


医療ガス設備の普及とともにJIS規格化が行われ、現在のピン方式の穴位置に統一

1993年に財団法人医療機器センターが中心となり日本産業規格 JIS T 7101「医療ガス配管設備」が制定されガス別特定に関することも統一されました。

こうした歴史上の背景から、接続口形状は大きく2種類となっているのです。
気になった方は、 お勤め先の病院でどちらの接続口形状を採用しているのか、ぜひ確認してみてください。


医療ガス設備メーカーとして半世紀年以上

セントラルユニは1966年に医療ガス供給システムを開発し、半世紀以上いのちを守る環境を支え続けています。
「見えないガスを、見えるガスに。」をモットーに、医療環境の変化とともに”大切ないのちを守る環境づくりのお手伝い”をしています。

医療ガス供給システム自体に目に見えた大きな変化はありませんが、安心・安全に長く使用していただけるよう改良・改善を続けております。


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